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平成14年10月 国指定重要文化財 指定

飯野八幡宮 本殿・飯野家文書・大薙刀に続き
下記の文化財が国指定になりました。

楼門唐門神楽殿宝蔵仮殿(御輿殿)若宮八幡神社本殿

摂社 若宮八幡神社 本殿
(せっしゃ わかみやはちまんじんじゃ・ほんでん)

 摂杜若宮八幡神社本殿(以下「若宮社」という。)は、本殿・拝殿・幣殿を取り囲む瑞垣外東方にあり、平成三年三月いわき市指定文化財となっている。

 若宮社は、元和四〜五年(一六一八〜一六一九)に建立された建物で、大工は本殿と同じ平澤内匠助である。形式は、前室付一間社流造で、屋根は流し板葺となり、向拝前面には前殿が付いている。現在の若宮社は平成十一年に保存修理を行い、調査によって当初の形に復原したが、修理前は屋根は鉄板葺となり、前殿は失われていた。

 建立後の正保二年(一六四五)に屋根葺替があり、その後、寶暦九年(一七五九)にも屋根葺替の記録があるが、その他は記録もなく本殿と同じ周期位で屋根葺替および小修理が繰り返されて来たと考えられるが、近年に至り昭和三十四年(一九五九)に屋根を鉄板葺に改め、平成十一年の保存修理で当初の姿に復原整備した。

 若宮社の規模は、前室付一間社流造で正面に間口一間の前殿を附属した、中規模の社殿で南面している。本殿平面は向拝柱を面取り角柱、身舎柱を円柱とし、いずれも礎石建ち。身舎と前室に分け、外部は両側面に跳ね高欄付きの切目縁を付け、背面筋に脇障子を立て、七級の木階段を設ける。組物は三つ斗を組み実肘木を通して丸桁を受ける。軒は二軒繁垂木で軒反りはない。妻は虹梁大瓶束で東上に大斗・肘木を置き棟木を受ける。柱問装置は身舎正面は幣軸を廻らし板扉とし、身舎東側面に出入ロを設け、片引き板戸を納め、その他は板壁とする。身舎内部天井は竿縁天井とする。屋根は流し板茸で棟には樋棟を納め、棟両端には鬼板を置く。前殿は、本殿前面に附属する間口一間、奥行き三間の切妻造、こけら葺である。

 この建物は、屋根、小屋組および縁廻りに後世の改造がみられるが、軸部、斗? 、軒廻りなどは当初のまま保存されていた。慶長十九年(一六一四)飯野八幡官社殿焼失後再建された建物の中にあっては、本殿再建に引き続き建設された建物で、飯野八幡宮に現存する元和期の建物として、本殿が延寶に大改造され建立当初の姿が失われてしまった状況の中にあって、唯一、再建当初の姿を伝え、その意匠は中世風意匠を色濃く残し、建物の保存状態もよく、福島県浜通りの近世初期の遺構としては代表的な建物と言えよう。