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平成14年10月 国指定重要文化財 指定

飯野八幡宮 本殿・飯野家文書・大薙刀に続き
下記の文化財が国指定になりました。

楼門唐門神楽殿宝蔵仮殿(御輿殿)若宮八幡神社本殿

仮 殿[御輿殿](かりでん・みこしでん)

 本殿・拝殿・幣殿を取り囲む瑞垣外西方にあり、現在は御輿殿として使用されているが、建立当初は仮殿であった。

 仮殿の建立は大瓶束墨書により寛文十三年(延寶元年一六七三)で、本殿を延寶二年に修理するため、建立されたとみられ、建立当初は前室付一間社流造で、屋根は流し板葺で、向拝前面には幣殿の相当する前殿が付いていたとみられる。建立後の修理時期については不明であるが、屋根葺替などを周期的に行いながら、明治頃に向拝の軒廻りなどを修理し、近年に至り昭和三十四年に屋根を鉄板葺に改め、現在に至っている。

 仮殿の規模は、若宮社とほば同じくらいで南面している。平面は向拝柱、身舎柱とも面取り角柱で礎石建ち。身舎と前室に分け、外部は両側面に切目縁を付け、背面筋に脇障子を立てる。柱上に舟肘木を置き丸桁を受ける。軒は一軒疎ら垂木で、妻は虹梁上に束を立て舟肘木を置き棟木を受けている。柱間装置は身舎正面に板扉を入れ、身舎東側面に出入ロを設け片引き板戸を納め、その他は板壁とする。屋根は現在鉄板葺とされているが、当初は、流し板葺であった。

 この建物は、本殿、拝殿を中心とする飯野八幡宮境内の中にあって、若宮社と対照的の位置にあり、規模も同程度で境内を構成するうえでは重要の位置を占める。構造は若宮社と比較すると簡素であるが、その成立が仮殿であったということからみると、本格的な造りとみることができ、一連の飯野八幡宮社殿造営の中では本殿の大改造および拝殿・幣殿建設の時期にあたり、社殿造営に至る一連流れの中で仮殿の存在は、宗教的儀式とも相俟って重要な位置を占めると考えられる。